Neal Cassady

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ニール・キャサディ(Neal Cassady)
ケルアックケルアックの代表作『路上』は、ケルアック自身をモデルとした主人公サル・パラダイスと、ニール・キャサディをモデルとしたディーン・モリアーティとの放浪の旅を描いたものであり、商業的な成功もあいまって、ビート・ジェネレーションを象徴する作品となった。
この日本でいま、特に代表的な著作があるわけでもないニールの存在を知り得るとすれば、まずケルアック経由、特にこの『路上』のディーンのモデルであるという事実からであり、それ以外はなかなか考えにくい。
しかしながらケルアックの成功も逆に、ニールなしでは考えにくいというのもまた事実である。ニールの妻であり、後にケルアックの恋人にもなるキャロリン・キャサディは、ケルアックとニールはお互いを必要としていた、と話している。ケルアックは、マッチョさの中に優雅さがあり経験も豊富で、いばっているのに喧嘩っ早くはないニールに一種の憧れのようなものをもっており、一方のニールは、中産階級の生まれで学歴もあり、社会的な地位がしっかりしているケルアックに対して、やはり憧れや羨望に近い感情を抱いていた。そういう2人のバランスがよかったからこそ、ずっと一緒にいたのではないか、とキャロリンは言う。
『死にたいほどの夜』という、ニールをモデルにした映画がある。その作品紹介には、以下のようにある。「一冊の本も残さず、何も発見せず、女を見れば手当たり次第尻を追い、誇れることといえば盗んだ車の数だけというのに、時代の象徴になった男、ニール・キャサディ。本作は、ヒッピーの教祖的存在でもあった彼の若き日を描いた青春ドラマ」。これを、そのまま文字通りに受け取るひとはいないだろう。作家として名を残さずとも「時代の象徴」とまで言われるニールという存在を抜きにビート・ジェネレーションを語ることが難しいことは、数多あるケルアックの作品や評伝、もしくはこの映画を観ていただければわかることだ。
文・内沼晋太郎


