• FRONT
  • MANIFESTO
  • SPECIAL CONTRIBUTION
  • JOURNAL
  • ITEMS
  • EXHIBITION
  • CAFE
  • ABOUT
  • CONTACT
  • MEMBER
  • ONLINE SHOP
FRONT > SPECIAL CONTRIBUTION > <Keep On Walking>

<Keep On Walking>

戸井 十月<Keep On Walking>


アメリカ、アリゾナ州の州都、フェニックスの北110qの原野の只中に、 <アーコサンティ> は忽然と現れる。 <アーコサンティ> は、イタリア、トリノ生まれの建築家、パオロ・ソレリが謳う「アーコロジー」――アーキテクチャー(建築)とエコロジー(自然生態学)の共生の哲学を基に建設中の実験都市である。1947年にアメリカに渡ったソレリは建築家フランク・ロイド・ライトに師事した後、独自の哲学を実践するために「コサンティ財団」を設立、70年に630エーカーの土地を手に入れて <アーコサンティ> プロジェクトに着手した。しかし、建設開始から36年経った今も青写真の10%ほどが形になったにすぎず、その完成は500年後とも1000年後とも言われている。つまり、80歳を過ぎたソレリ本人はもちろんのこと、現在、このプロジェクトに参画する人間の誰1人として完成した都市の全貌を自分の目で見ることはできないというわけだ。良く言えば気宇壮大、普通なら誇大妄想と笑い飛ばされるようなこのプロジェクトに、しかし世界中から若い才能が集まってくる。 <アーコサンティ> はメサ(卓状台地)の上にある。その景観を初めて目にした者は、荒涼たる原野に舞い降りた巨大な宇宙ステーションをイメージするかもしれない深い谷に囲まれた卓状台地という立地条件は太陽と風のエネルギーを最大限生かすのに適していて、同じ理由から、アメリカ・インディアンたちも古代からメサの上に集落をつくってきた。アメリカの都市の殆どは平面的に広がり、移動や流通の面で膨大なエネルギーを消費している。しかし建築物を縦に重ね、労働空間や住宅空間を複合化してコンパクトにすれば都市生活に必要なエネルギーは半減するというのがソレリの考えだ。そのためには、自然のエネルギーを大いに活用する。 <アーコサンティ> の建設は、世界中から集まる学生や、様々な分野のプロフェッショナルたちによって進められてきた。その延べ人数、現在までにおよそ5000人。学生の場合は2ヶ月1単位のワークショップのメンバーになり、宿泊代や食事代を含めた参加費を払って町づくりを手伝う。ここは建設途上の都市であると同時に、様々なキャリアを持った人々が国境を越えて集まり、共に考え、共に学ぶ学校のような場所でもある。設計担当グループの1人、25歳のサラ・リチャードソンはニューヨークで建築を学んでからここに来た。「作業員の殆どはボランティアの若者たちだから、仕事が遅いのは仕方ないわ。でも、決められた期日があるわけでもないし、プロジェクトを早く終わらせることが目的でもないしね。大切なのは、その過程よ。その過程で一人一人が学び、成長することが大切なんだと思うわ」ゲストハウス・マネージャーのジョー・ヘンソンは54歳。30年間の教師生活の後に、ここに来た。「この町がいつ完成するかなんて、誰にも答えられないよ。私たちの目的は建設し続けること。その過程を沢山の人に見てもらうことなんだ」誰もが、大切なのは結果でなく過程なのだと言う。理想に向かって歩き続ける過程にこそ、人生の意味があると言う。私は、プロジェクトのリーダー、ソレリに訊いた。「あなたの夢の完成度を数字にすると、どれくらいになりますか?」ピカソから毒気を抜いたようなソレリは、小さな肩を竦めて答えた。「殆ど目に見えない程度の数字だね。 形になった部分は微々たるものだ。このプロジェクトを笑う人は沢山いるだろう。一生かけて、何を馬鹿やってるんだってね。しかし、そういう人は大切なことが分かっていない。何ができたかではなく、何をつくろうとしたか。どこに着いたかではなく、どこに向かって歩いているかが大切なんだってことがね」結果、失敗することはいくらでもある。結果が出るまでに人生が終わることだって珍しくはない。しかし、それでも夢や理想に向かって歩き続けることに、人生の意味と輝きはあるはずだ。いつから、人は結果ばかりを追い求めるようになったのだろう。いつから、人は未完成の夢や理想を馬鹿にするようになった–のだろう。本当は過程こそが大切なのに。それこそが、生きるということなのに‥‥。あなたは、今、どこに向かって歩いているのか?――原野に建つ、永遠に未完成の都市が、私たちに問いかけてくる。

  • Special Contribution:

  • 『ジプシー・ソウル』
  • 公開詰問 すなおに すなおに
  • <Keep On Walking>
  • 「人々を奴隷にする全てのものをぶち壊せ!・・・・今もなお生き続けるMC5の革命的スピリット」
  • 1984-2005
  • ふりあげたこぶしを静かに下げるちから
  • English:

Copyright Tokyo Hipsters Club 2005-2006 all rights reserved. 
| Privacy Policy | Site Policy |
商品やイベントなど、SHOPからの最新情報をお届けします。メール会員登録はこちらから