BREAK THROUGH IN GREY ROOM


顔の部分だけが、スカルとなった人々。そこには、もう二度とこの世には戻ってこないけれど、その影響が今なお色濃く、そして永遠に残るであろう人物が描かれている。「DEAD MAN SERIES」は、小松孝志氏が自身のブランドBIASを立ち上げた当初から、根底に流れるテーマである「生と死と時間」を最も純粋に反映したシリーズとして一貫して制作を続けているもので、5月1日から18日まで開催された本展では、その「DEAD MAN SERIES」に焦点を当て、ブランドとしては初めて、作品のエキシビションという形式で発表した。
階段には、キャンドルと交互に、赤く塗られた手袋の中指にガラス管が入っていて、そこに花が挿してある。そして階段を上がりきると、イーゼルの上に立てられたフレームに『BREAK THROUGH IN GREY ROOM』の文字、そしてBIASのアイコンでありストーリーテラーとしての役割を担う、スカル・ダルメシアンが出迎える。
会場に入ると、今回のメインである「DEAD MAN SERIES」のデッサンが並ぶ。まず左から映画『2001年宇宙の旅』などの監督として知られるスタンリー・キューブリックをモチーフとした「KUBRICK」、相対性理論の基礎を築き上げたアルバート・アインシュタインの「EINSTEIN」、ビート・ジェネレーションを代表する詩人アレン・ギンズバーグの「GINSBERG」が並ぶ。

そして奥の壁にはナンセンスな作風で知られる絵本作家エドワード・ゴーリーをモチーフとした「GOREY」、ストリートに生きた若き天才アーティストジャン・ミシェル・バスキアの「BASQUIAT」、『オン・ザ・ロード』で知られるビートの作家ジャック・ケルアックの「KEROUAC」、『裸のランチ』で知られる作家ウィリアム・S・バロウズの「BURROUGHS」、グランジを代表する唯一無二のバンドニルヴァーナのヴォーカルカート・コバーンの「COBAIN」、『町で一番の美女』などの短編や詩で知られるチャールズ・ブコウスキーの「BUKOWSKI」。横の洋服棚には、この「DEAD MAN SERIES」がプリントされたTシャツ全種がかかっている。
その向かい側に今回THCのエクスクルーシブモデルである、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスをモチーフとした「VICIOUS」、新作であるジョイ・ディヴィジョンのヴォーカルイアン・カーティスの「CURTIS」、間に鏡を挟んで、アンディ・ウォーホルの「WARHOL」、そしてジョン・レノンの「LENNON」と並ぶ。これら12枚のドローイングは全て女性アーティスト中村紋子氏によって描かれたもので、ジークレー版画という手法で精密に印刷されている。
会場の中央ではCandle JUNEによるキャンドルが燃やされ続け、奥の机には関連書籍や様々なイメージ、今回グッズとして制作された皿などが、無造作に置かれている。

外には等身大の新作ドローイングが置かれている。杖をつき、ハットをかぶり、正装したスカルは、有名なバロウズのポートレート写真をモデルにしたものだとわかる。今回のエキシビションのタイトルでもある『BREAK THROUGH IN GREY ROOM』は、バロウズの音楽作品のタイトルから取られたものだ。そして廊下にも、「BURROUGHS」を中心として様々な布などで構成された巨大なコラージュ作品が掲げられている。
本展期間中は、他にもマグカップや灰皿などの関連グッズが1Fショップで販売されたほか、モチーフとなった12人に関連する書籍を購入の方にはそれぞれの「DEAD MAN SERIES」がプリントされたブックカバーが用意された。また、中村氏が所属するアーティスト集団「StairAUG」関連書籍も販売され、初日に行われたレセプションパーティも、多くの人々で賑わった。
文・内沼晋太郎


