anarchy mackintosh

2007年で3回目を迎えたデザインイベント、Design Tide。デザインインテリア、プロダクト、グラフィック、ファッション、アートなど様々な分野のつくり手が自身の作品を発表する場であり、毎回異なるメイン会場を据え、青山・原宿・渋谷・六本木・丸の内エリアのギャラリーやカフェ、アパレルショップなど様々なスペースでエキシビションを行う一大イベントだ。
ここT.H.C.のフリースペースも、オープン以来毎回Design Tideに参加している。オープン後間もない2005年は、小町渉氏によるエキシビション「HAVE A NICE DAY!」が、その年のDesign Tideのアドバイザリーボードによって選ばれる最高の賞である「BEST TOKYO DESIGN」を受賞。2006年は、バイクのカスタムビルダーである木村信也氏による「HIPSTER'S JOURNEY ―from TOKYO to LA―」で参加し、メイン会場から程近いこのスペースが多くの人々で賑わった。
そして2007年のDesign Tideに、ここT.H.C.のスペースから参加したのが、独自の色や世界観を表現し、従来の常識を覆す挑発的でアヴァンギャルドな新しい漆器を生み出し、伝統工芸の世界に革新的な挑戦をしてきたアーティスト、木村浩一郎氏である。
1963年宮城県仙台市生まれの木村浩一郎氏は、オリジナルブランド「koichiro kimura」、「art・craft japan」のデザイナーでもある。日本の伝統芸術である漆塗りをベースに、独自の色世界を表現したテーブルウェア、家具などのデザイン、制作を手がける。そのビビッドな色使いやモダンなフォルムは、一見すると忘れられないインパクトがあり、いわゆる漆塗りに対して抱く一般的なイメージを根本的に揺さぶる力を持っている。「アヴァンギャルドでなければ面白くない」――彼のデザイン哲学の中心は常にそこにあるという。

本展のタイトルともなっている「Anarchy Mackintosh」は、「最高にアナーキーで最高にエコロジー」をテーマにつくられた、木村氏の新作チェアである。タイトルの通り、モチーフはマッキントッシュの名作椅子「ヒルハウス」。その美と機能性を融合し、実用金属中最も軽く、強度も高く、エコ素材としても注目されるマグネシウムのみで作られたこのチェアは、世界初の試みとして多くの来場者の注目を浴びた。
その他にも、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの自邸にも置かれているというゴールドの「M'sチェア」や、「M'sベッド」「M処刑台」「天国への扉」などの家具が展示されたほか、カラフルな漆の小物入れも販売された。またレセプション・パーティでは、東京とロンドンをベースに活動するユカ&ケンタロウによる姉弟の映像ユニット「SHIMURABROS」の映像インスタレーションも行われ、多くの来場客で賑わった。

文・内沼晋太郎


